コーヒー豆は「豆」じゃない。
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突然ですが、
コーヒー豆は「豆」ではありません。
「え?」
と思いますよね。
だって、
「コーヒー豆」
って呼んでいるじゃないですか。
スーパーでもコーヒー屋でも、
「豆のままですか?粉にしますか?」
なんて聞かれます。
見た目だって、なんとなく豆っぽい。
でも実は、私たちが毎日飲んでいるコーヒーの正体は、
果実の中にある「種」なのです。
今日は、いつものコーヒーがちょっと違って見えてくる、コーヒー豆の話です。
コーヒーの木には「実」がなる
コーヒーは、コーヒーノキという植物から作られます。
コーヒーの木には白い花が咲き、そのあとに小さな実ができます。
最初は緑色。
それが少しずつ成長して、一般的には赤く熟していきます。
その見た目がサクランボに似ていることから、
「コーヒーチェリー」
と呼ばれています。
つまりコーヒーは、
最初から茶色い豆の姿で木になっているわけではありません。
もともとは、
赤い果実なのです。
その果実を割ってみると……
コーヒーチェリーの中には、通常2つの種子が向かい合うように入っています。
その種を取り出して、乾燥させたものが、
私たちコーヒー屋が仕入れている、
「コーヒーの生豆(なままめ)」
です。
生豆は、皆さんがよく見る茶色いコーヒー豆とはかなり違います。
色は緑がかった白色。
香りを嗅いでも、あの香ばしいコーヒーの香りはほとんどありません。
これを焙煎することで、
いつもの茶色いコーヒー豆になります。
だから正確に言えば、
「コーヒー豆」というより、「コーヒーの種」なんですね。
じゃあ、なぜ「豆」と呼ぶの?
おそらく一番わかりやすい理由は、
見た目が豆に似ているから。
英語でも「coffee bean」と呼ばれています。
でも植物としては、大豆や小豆のようなマメ科の植物ではありません。
コーヒーはアカネ科の植物です。
私たちは日常的に「コーヒー豆」と呼んでいますし、もちろん珈琲丸でも「コーヒー豆」と言います。
なので、
「コーヒー豆と呼ぶのは間違い!」
という話ではありません。
ただ、
「実は果物の種なんですよ」
と知ると、コーヒーの見方が少し変わってきませんか?
コーヒーに「果実のような味」がある理由
ここで、前回お話しした「コーヒーの酸味」ともつながってきます。
コーヒーを飲んでいると、
「ベリーのような香り」
「柑橘のような爽やかさ」
「リンゴのような酸味」
などと表現されることがあります。
「コーヒーなのに、なんで果物?」
と思ったことがある方もいるかもしれません。
もちろん、コーヒーにイチゴやレモンを入れているわけではありません。
でも、
もともとコーヒーは果実の中にあった種。
そう考えると、コーヒーから果実を思わせる香りや味わいを感じることが、少し不思議ではなくなってきます。
実を取ったあとも、味づくりは続きます
コーヒーチェリーを収穫したら、中の種だけを取り出せば終わり。
……というわけでもありません。
ここから「精製」という大切な工程があります。
果肉を取り除いてから乾燥させる方法。
果実のまま乾燥させる方法。
果肉の一部を残して乾燥させる方法。
産地や農園によって、さまざまな方法があります。
この違いによっても、
香り。
甘味。
酸味。
口当たり。
コーヒーの味わいは変わります。
つまり、私たちが一杯のコーヒーを飲むまでには、
畑 → 収穫 → 精製 → 乾燥 → 選別 → 輸送 → 焙煎 → 抽出
と、たくさんの工程があるのです。
同じ「コーヒー」なのに味が違うのは当たり前
コーヒーを飲み始めたころ、
「コーヒーなんて、どれもそんなに変わらないでしょ?」
と思っていた方もいるのではないでしょうか。
でも、コーヒーを農作物として考えてみると、見え方が変わります。
リンゴだって、
品種が違えば味が違います。
産地が違えば、特徴も変わります。
収穫する時期によっても変わります。
コーヒーだって同じです。
国。
地域。
標高。
品種。
気候。
精製方法。
そして焙煎。
さまざまな違いが重なって、
そのコーヒーにしかない味
が生まれます。
私たちが焙煎しているのは「世界各地から届いた種」
こう考えると、コーヒー屋の仕事もちょっと面白く見えてきます。
珈琲丸に届くのは、
世界各地で育ったコーヒーチェリーから取り出された種です。
アフリカから。
中南米から。
アジアから。
遠い国の農園で育ち、収穫され、精製され、海を越えて日本までやってきます。
その生豆を、
珈琲丸の小さな焙煎機で少量ずつ焙煎する。
熱を加えると、緑がかった生豆が少しずつ黄色くなり、
茶色くなり、
やがて、あのコーヒーらしい香りが立ち上がってきます。
何度やっても面白い瞬間です。
コーヒー豆は「豆」じゃない。
いつも何気なく使っている、
「コーヒー豆」
という言葉。
でも、その正体は、
遠い国で実った果実の中にあった、小さな種。
そう考えると、一粒のコーヒー豆が日本までやってくるまでの旅が見えてくるような気がします。
農家さんが育て、
赤い実を収穫し、
精製して、
乾燥させ、
選別して、
海を越えて日本へ。
そして私たちが焙煎し、
皆さんがお湯を注いで、
ようやく一杯のコーヒーになります。
一杯のコーヒーは、一粒の「種」から始まっている。
次にコーヒー豆を手に取ったとき、
ちょっとだけ思い出してみてください。
「これ、豆じゃなくて種なんだよな」と。
いつもの一杯が、
ほんの少し面白く見えてくるかもしれません。
今日も珈琲丸は、
世界から届いた小さな「種」を、小さな焙煎機で少量ずつ。
煎りたてのコーヒーをお届けします。